いきなりだが、今回の金門島へは情報解禁の旅だ ー 何の事かと言うと自分への情報解禁、つまりは普段旅する時は事前にあれこれ下調べをせず、いきなりその土地の風景や建物を直接見る事が好きなのだが、今回は2度目の金門島でもあるし、前回現地で観光マップのようなものを貰い、それに写真も掲載されていたのでもう既に色々と知ってしまったという事もあり、今回は情報解禁 ー 出発前に情報を色々と調べてから旅することにした。
最近の台湾旅行記のBlogを読んでいると、「ラッキーランド」キャンペーン(事前に登録して到着空港でクジができ、当たるとEチケットや旅行割引券が貰える)の事に触れた記事がやたらと出てくることに驚いた。私はそんな事すら全く知らず半年前に旅していたので、今回はそんな流行りに乗り、私も「ラッキーランド」をやってみたが、結果残念ながら外れであった。ま、そんなもんか。
という事で前置きが長くなったが半年ぶりの金門島。前回同様、台湾の松山空港から国内線で出発。チェックインも搭乗手続きももうすっかり慣れたものだ。
飛行機は定刻通りの10時20分AMに離陸し、眼下に台北101を見ながら左旋回し、金門島へと飛び立った。
真っ青な台湾海峡上空を進み1時間ちょっとばかりすると眼下に緑が広がり、ぽつりぽつりとオレンジ色した閩南建築の建物が見えてくる。
11時40分AM、金門空港に到着 ー 当然ながら半年前と変わらぬ景色、そしてタラップから降りると金門島特有のカラっとした気候で、海からの潮風が心地よい。
今回の金門島は4泊の予定で、まずは前回時間切れで訪れる事が出来なかった島の東部に1泊することにした。
前回もそうだったのだが、今回の宿も空港までのお迎えのサービスがあった(前回泊まった宿は帰りのみ空港へ送ってくれるサービスがあるとの事だったのだが、私が外国人という事で空港まで迎えに来てくれた)。
こういうサービスがあるのも島特有とでも言うべきか、外国人旅行者の身としてはとてもありがたい。
今回の宿のオーナーさんは30代くらいの若い方だった。残念ながら中国語しか話せなかったのであまりコミュニケーションは取れなかったが、ごくごく簡単な英語は理解してくれた(困った時はGoogle翻訳で)。
暫く車で走っていると右手にこんもりとした山が見えてきた。金門島最高峰(と言っても標高は253メートルほど)の太武山だろうか。
約20分ほど車で走り宿に到着。自然に囲まれたとても素敵な宿だ。今回は陽翟(ヤンツァイ)という街で1泊予定で、この辺りは金門島の中でも割とカントリーサイドとも言うべき場所にあり、さすがになかなかここを訪れる日本人も少ないらしく、この宿に宿泊する日本人は私が第一号、という事であった。
因みに陽翟は前回の帰国後にYoutubeで見つけた街で、この地には嘗ての金門軍を慰労する為に映画館が造られ、その周りには陽翟街が形成され、街にはビリヤード場や銭湯、美容院などが建てられ1950年代はそれなりの賑わいを呈していたところであるらしい。
そして今、その映画館は修復され、「軍中楽園」という映画が制作された際には陽翟の街もロケ地として再建され、その後それらの街並みは保存され老街となり、そこに今は色んなお店が入っている、というところである。なので1部、お店の看板と商店の中身が合ってないようなところもある。
日本に居る時にネット上の地図でそんな陽翟老街を見ているとすぐ近くに今回泊まった宿を発見し、そんな訳で今回はここにやって来たのである。
荷物を降ろし、早速街で出掛けようとすると部屋がノックされ、宿のオーナーさんがウェルカムドリンクとお菓子などを部屋まで持って来てくれた。なので、ひとまず部屋でゆっくりしてから出掛けることしよう。それにしても窓の外には太武山が見渡せ、野鳥が囀りまくっている(金門島は野鳥も有名で観察しに沢山の人が訪れるらしい)。実にのんびりとしたいいところだ。
一息付いて、早速映画館と老街へ ー 街の入り口には「青天白日」のデザインと蒋介石の?言葉が刻まれた門がある。門を入ると左手にシーサーのような2体の風獅爺が陽翟と書かれた玉を持っている。
まぁ散々というほどYoutubeで見てしまっていたこの金東電影院だけど、やはり目の前にすると感動する。実に美しい。映画好きな私としてはここで映画を見てみたいものである。その映画が「軍中楽園」だったとしたら言う事なしであろう。
館内にも入れるようで、張り紙などみると訪れた日は休館日でも無さそうであったのだが、鍵が掛かっており中には入れなかった。ガチャガチャ、ガチャっと何度かやってみたが、扉は開かず。あまりしつこくやると不審者に思われそうでもあるので、適当なところでやめておいた。
中は見る事が出来なかったけど、この建物だけでも見る事ができ満足だ。
次はいよいよ老街へ。ここから歩いてすぐだ。映画制作の際に再建されたので当然と言えば当然だけど、やはりまるで映画のセットの中にいるような感覚に陥る素敵な街並みだ。
因みに言うと台湾には文創(文化創造)という言葉があり、「古いものを大切にしそれを生かして現代の文化と掛け合わせ新しいものを生み出していこう」という考えで、政府もそれを推奨しており、ここは正にそんな考えが息づいたところだと思う。日本もこの考えを少しくらいは見習って欲しいものである、と台湾の街を歩いているとよくそんな事を思う。
さて、訪れた人は平日とあってか観光客もそれ程多くおらず、静かで良かったのだが、営業しているお店が少なかった。週末なんかになると少しは違うのだろう。そんな中でも今は雑貨屋になっている、「紳士、淑女」の理容院で働いている方々とはちょっとばかり仲良くなって、一緒に写真を撮らせてもらったりもした。
なかなか面白いお店で、店内に奈良美智さんのDMが置いてあったので、おや?と思ったら、どうやら、もう少し台湾に近い島 ー 澎湖(ペンフー)島での展示のDMであった(こちらの展示はもう終了しているようだ)。それにしてもペンフーで奈良さんの展示なんて、ちょっと観てみたかった気もする。
軍の慰労のために作られた映画館から発展した街であるせいか、街中には国家高揚を促すようなプロパガンダ的なウォールアートもあちらこちらに。とは言え、今は全くと言っていいほどそんな軍部の雰囲気は漂っていない街なのですが。
通りの1番端にたまごケーキ?屋さん的なものを発見。こちらのお店のお姉さん、開け放たれた窓辺でずっとパソコン作業をしていて、こんな素敵な街並みの中、心地よい風を受けながら毎日こんな風に過ごしていると思うととっても羨ましかった。
因みにここではレモン味のたまごケーキと梅入りのコーラを頂きました。外観もそして店内もおしゃれなお店でした。
金門島のいいところはやはり、こんな素敵な場所でも観光客が少なく、のんびりと過ごせることだと思う。暫くこのカフェでのんびりと過ごし、「あぁ遂に陽翟までやって来たのだなぁ、望みさえすればというか、自分で行動さえ起こせば、こうやってどこにでも来て実際にこの目で何でも見る事ができる」なんて思うと不思議な気分になってくる。
そんな事を思いつつ、陽翟の街を堪能し、この後ローカルバスに乗って迎賓館という場所へ向かったのだが、その話は別記事のこちらで → こちら