メコン河の畔にて - ビエンチャン・ラオス 2004

  - ビエンチャン

 2004年2月4日 - 旅に出てから今日で丁度100日目になる。昨日の夕方バスでバンコクを出発しそこから約600km北へ走った先にラオスの首都・ビエンチャンがある。

 国境越えは拍子抜けする程簡単だった。バスは夜間に北へ向けてひた走り、翌朝タイの国境の町・ノーンカイに到着。そこで一旦バスを降りタイ側のイミグレーションで出国手続きを済ませる。建物の外に出るとバスが待っており、それに乗り込みタイとラオス間に掛かっている友好橋という名の橋をバスで渡ってくれる。

 そして橋を渡った先にはラオス側のイミグレーションがあり、ここで入国手続きを済ませて無事ラオスに入国という手順だ。この入国した場所が既にラオスの首都・ビエンチャンになっている。 - つまりはビエンチャンと言う町はラオスで言うとかなり南に位置し、川を越えた先はもうすぐタイと言う事になる。

 ラオスの首都ビエンチャン、小さな町なので宿は直ぐに見つかった。宿にチェックイン後、町をちょっと歩いてみた。 - ここがホントに首都なのかと思えるほど何もない。まるでベトナムの一地方都市に来たようでもある。

 ラオスのお金をまだ持っていなかったので、銀行に備え付けのATMで降ろそうとしたが、私が持っているカードは使えないようなので、中に入りカードに記されているマークを見せ、「このカードが使えるATMはどこかにない?」と聞いてみると、「それはラオスでは使えないので、タイで使用してくれ」とよく分からない回答が来た。そもそも私はたった今そのタイから来たばかりで、戻るのも面倒であるし、タイで使ったらタイのお金しか引き出せないのではないか?と思ったが、どうやらラオスでは私のカードは使えなさそうなので、手持ちの現金から両替し、ラオスのお金を手に入れた。

 ラオスはスーパーインフレなのか、小額のお金を両替しただけでもの凄い量の札束になる。これまで手にした事無い厚さの札束を手にすると何だかとってもお金持ちになったような気分になる。とは言え価値も当然小さいお札なので、その分減りも早く、使う度に何だかどんどんお金を消費しているような錯覚に陥るのであるが。。

 ビエンチャンの町中にどんな訳かパリの凱旋門も模したような建物を発見した。遠目に見るとなかなか立派に見えるのだが、よくよく近寄って細部を見ると荒削りな感じがしないでもない。見た目はパリの凱旋門のようだが、建築は何だかラオス風で内部のレリーフなんかは完全に仏教色の濃いアジア風である。
 
 この建物、正式名称をアヌサーワリー・パトゥーサイと言いラオスでの内戦の終結を祝って建てられたものであるらしい。この辺りインドシナ半島一体はフランスの影響が強いとは言え、まさかラオスでパリの凱旋門風の建物に出会えるとは思わなかった。

 それにしても今回の旅ではラオスには来る予定はなかった筈なのに何故か私はラオスに居ると言う不思議。
 長く旅をすると移動がメインにもなってくる側面もあるのでどうしても細かくは回れなくなってしまう。中国から東南アジアに入った時に何故ラオスでなくベトナムを選んだのか?自分自身に明確な理由があった訳ではないが、私は取り敢えずラオスと言うものを全く知らなかったからだと思う。

 高校時代の歴史の授業でもラオスと言う国が出てきた記憶はないし、そこに何があるかも良く知らなかった。(片や授業で習わずともベトナムの事はそれなりに歴史を知る機会は日本ではあるものである) - 知らないからこそ、そこへ行くというのも理由の1つであるが、私はあまりにも何も知らな過ぎて、そこで見たいと思うものも何もなく、そのまま素通りしようとしていたと思う。 
 ところが、様々な偶然が重なり私は今ラオスにやって来て、ホントに何も無い事を知り、しかし、この何もなさが凄く気に入ってしまった。勿論この何もなさだけでなく、出会った人々の素朴さや純朴さ、そして優しさこそがこの国の魅力だと思う。

 夕暮れ時、やる事もないので、ふらっと歩きメコン河に沈む夕日を見に出掛けた。夕暮れ時の色に染まった河の直ぐ向こうにタイがはっきりと見える。 - 私が持っている銀行のカードを使うのであればタイに行ってくれと言われたその国である。タイはやはりラオスに比べるとそれなりに豊かさを享受しているとも思うが、そんな事もお構いなしに人々が暮らしているようなラオスがやはり私はとても好きになった。


 河原で何やら爆音のノリノリの音楽が聞こえて来たので、何かパーティでもやっているのかと思い音の鳴る方に行ってみると、何と河原でみなでエアロビクスをやっていた。 - 夕暮れ時に大音量で河原で皆でエアロビクスなんてやっている町、ビエンチャン。何にもないこの町だが、とっても楽しき町、そして人々である。

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