三たび皮トンビ ~ 角川武蔵野ミュージアム

 2020年夏にオープンした角川武蔵野ミュージアム - 図書施設、美術館、そして博物館が融合すると言う何とも素敵な施設 - 建築は今を時めく隈研吾さんだ。
 昨年、富山市のガラス美術館を訪れたのだが、あそこも図書館と美術館が併設された建物で「何とも贅沢な空間だなぁ、これからの図書館はこんな感じでアートと融合してもらいたいものである」なんて勝手に思った記憶も新しい内に角川武蔵野ミュージアムもオープン。そして富山のガラス美術館の建築もそう、隈研吾さんだった。

 オープンして直ぐは人も多いだろうし、もう少し落ち着いたら是非足を運ぼうと思っている内に季節は移り変わり、世の中緊急事態宣言。しかし、年明けには「《コロナ時代のアマビエ》プロジェクト」なるものがスタートし、隔月で、現代美術の作家さんが作品を展示する事になったようなのだが、1月にはあの鴻池朋子さんの作品が展示されるとの告知が。

 鴻池さんが今の時代に何を作るのか是非見てみたいと思ったけれど、1月2月はコロナ禍真っ只中という事もあり、あまり出歩きたくないと思っていた所、よくよく調べたら鴻池さんの作品は1年間展示されるとのこと。 - となるともう少し暖かくなったら出掛けようと思い、この度ようやく訪れる機会を得た。

 最寄り駅の東所沢駅には始めて降り立ったのだが、ここはアニメの聖地?だったのか、この度の角川のミュージアムオープンに合わせてなのかは不明だけど、駅を降り立ってからミュージアムに辿り着くまで色んなアニメがお出迎え。

 途中、オランダ坂珈琲邸なるものを発見。しかし残念ながらもう閉店してしまっていたようですが、これは何か長崎と関係あるのだろうか。なんて事を思いながら歩を進めると公園の向こう側に見えてきました、角川武蔵野ミュージアム。

 それにしてもデカイ!と言うのが第一印象。映像や写真ではやはり伝わらないと言うか想像していたよりも遥かに大きくてその大きさにまずは圧倒されました。相対的に見ていたのか鴻池さんの作品も然程大きさを感じていなかったのだけど、実際に目の前にするとかなりの大きさでその巨大さにまずは圧倒、されました。

 鴻池さんの作品 - 皮トンビとは3度目のご対面。瀬戸内海に浮かぶ大島で見たのが最初で、その後東京のアーティゾン美術館(こちらでは大島の野外で展示されていたものが、そのまま東京に運ばれ時間の経過と共に変化した姿を見せてくれた)、そして3度目はここ武蔵野の地で私の目の前に現れてくれた。 - その名も「武蔵野皮トンビ」

 勝手な思い込みで大島やアーティゾン美術館で見た皮トンビは何だか静寂、というかシリアスさを感じさせてくれ、この武蔵野皮トンビは(実際に目にするまで)、アマビエプロジェクトと関連してという事もあってか、(キャラクター化されたアマビエのように)どちらかと言うとこちらもちょっとキャラクター的な印象があったのだけど、実際に目にすると、そんな印象は吹っ飛んで、大島なんかで感じたような荘厳さと言うか、静謐さみたいなものを感じさせてくれる作品でした。

 まさに皮トンビの三段活用的な変化 - 三段活用と言わず、五段、六段と今後も鴻池さんの新しい皮トンビの進化する姿を見てみたいものです。

 因みに大島やアーティゾン美術館の皮トンビを綴った記事はこちら

 まずは隣接する神社 -武蔵野坐令和神社(むさしのにます うるわしき やまとの みやしろ)ー と言う何だか舌を噛みそうな名前の社殿にお参りし、周辺をちょっとばかし散策し、ミュージアム内へ。それにしてもこの日は季節をちょっと先取りしたかのような暖かさ、そして桜の木々が満開で素晴らしい日でした。

 施設内に入るとまずは金色のウルトラマンと会田誠さんのアマビエがお出迎え。  

 期間が1ヶ月延長され、この日1階のグランドギャラリーで展示されていたのは荒俣宏さんの「妖怪伏魔殿」 - 妖怪好きな私としてはなかなか楽しみ。(因みにこちらの展示は現在終了しています。)

 入るとまず両サイドに古今東西、今昔の妖怪が紹介され、薄暗い中に現れる妖怪の姿を時折コミカルにご紹介。

 そして次のコーナーでは日本全国47都道府県の妖怪を図柄と共に紹介。こういう時はやはり地元愛とでも言うか、地元の妖怪が気になり長崎県の妖怪をまず初めにチェックしたのだが、何と、長崎の妖怪だけ図柄がなかった。なぜ?しかし1/47の確立で長崎だけ図柄なしとはそれはそれで、摩訶不思議的なとでも言いましょうか、まだまだ分かっていない事も多いのでしょうか。

 お次は京極夏彦氏の部屋 - その名も京極の匣へ (こちらもこの妖怪伏魔殿に含まれるものなので、現在は展示終了)

 京極夏彦氏の作品は(1冊1冊がとんでもない位分厚い!のでさすがに全ては読み切れて居いませんが)、それなりに読んでいるので、この部屋の中に現れる妖怪(地面や壁に投影されて登場)を次々と見ているだけで飽きる事なくここではかなり長居してしまった。

 お昼は隣接するサクラタウンでうどんを食して、タリーズに入ってしばし読書 - と何ら普段の週末と変わらないような生活だけど、直ぐ隣に図書施設やら美術館があると言うのは何とも贅沢で、こんな週末がいつも送れたらいいのにな、なんて思ったり。

 コーヒーと本で暫く寛いだ後はまたまた本の世界へ - これは本当に贅沢なハシゴだ。

 ミュージアム内4階のエディットタウンアンドギャラリー、そして5階の武蔵野回廊へ。
 
 特に4階はまさに本の洪水のような場所で、奥の本棚劇場は圧巻でした。

 このフロアでは本を借りたり購入したり出来る訳ではないのだが、自由に閲覧する事ができる。 - 旅の本、写真集やらそして、日本各地にある図書館なんかを紹介した本などなど - 兎に角本が沢山あるので、色々とつまみ食い的に、そしてイスもあるので座って読むこともできるのでここではホント1日過ごせる、そんな空間でした。

 本棚劇場は昨年の紅白歌合戦でYOASOBIがステージに使用した事でも有名ですね。時間帯でプロジェクションマッピングもご披露されていました。

 4階のギャラリーでは米谷健+ジュリアさんによる「だから私は救われたい」展も開催され、こちらは4階、5階に入るチケットで見ることができました。(こちらは期間が延長されて5月31日(月)まで開催されている模様。) 

 「福島の原発事故から10年、だからこそ、アート作品で、見て、感じて、考えて欲しい」と銘打たれた展示は、綺麗というだけでなく考えさせてくれる作品でした。

 クリスタルパレスという蛍光で光るシャンデリア作品は、各国の原発の規模に合わせた大きさになっており、因みに1番大きなシャンデリアは中国でした。。

 本やアートなどなど堪能し、建物の外に。気が付けば日も傾き始め、この時間帯には外で記念撮影なんかしている人達もちらほらと。

 そう言えばうどんを食べた食堂に何故かブリューワリーがあってビールを作っていたを思い出し、折角なので最後に飲んできました。ちょっとお値段高めでしたが、作り立てだけあってさすがに美味!でした。

 本とアートの世界にどっぷり浸かって1日過ごす、ホント贅沢な空間で1日充実した日々を過ごせました。

 
 《コロナ時代のアマビエ》プロジェクトで、7月~の展示予定は「me:」の荒神明香さんになっており彼女の作品も見てみたい気もするので、また夏の頃、訪れる事ができたらな、と思う。
 
 その頃は、この辺りはとても暑く空はすっかり夏模様になっていることでしょう。

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