北アルプス国際芸術祭2020-2021 <東山、仁科三湖、ダムエリア>

 北アルプス国際芸術祭Day2

 本日も松本市からの出発だ。天気は昨日に引き続き上々、しかし、この日は昨日以上に空気が澄んでいるのか遠くの山々まで見渡せる。きっと遠くまで見えるのは午前中だけだろうと高を括っていたが、結局この日1日中遠く雪に抱かれたアルプスの山々を見る事ができた。 - まさに芸術祭の名に相応しい絶景であった。

 しかし、この雪山を見るにつけネパールや北インドのシッキム辺りの光景のような、そして車で走っているとカナディアンロッキーのような、と雪山に纏わる光景をわたしに思い出させてくれた。

 そんな事を思いながらもこの日はまずは東山エリアへ - その名の通り、大町市の東側に位置し、そしてやはりその名の通り山道を走っての会場巡りとなる。

 この日最初はロシアの作家エカテリーナ・ムロムツェアさんの「全てもって、ゆく」を鑑賞すべく盛蓮寺さんへ。映像作品、そして境内に展示された絵画作品の2つを楽しめる。お寺での展示ってのも又よく、そして何とも不思議な映像作品で、友達とあーだこーだと議論というか謎解きに暮れたが、結局謎は解けぬまま - であったが、それだけに面白い作品であった。

 その後、更に山道を走り台湾の作家ヨウ・ウェンフーさんの「心田を耕す」 - 里山の風景を見事に白一色に染め上げた自然と一体となった作品会場へ。

 白は冬をイメージしているというところが何だか台湾の作家さんらしい。作品鑑賞後、車に戻るべく坂道を歩きながら遠く最後にこの作品へ振り返った時に、田んぼの中を小さい子供3人がさぁーっと駆け抜けて行った光景が実に印象的だった。

 更に山道を走り、次は鷹狩山の展望台へ - さすがに展望台というだけあってくねくねとした山道を走る。こちらには目(Me)という作家さんの2017年からの作品「信濃大町実景舎」がある。最近わたくしは、この目(Me)という作家さんが好きで、今回この作品は是非とも見たいと思っていた。展望台に到着後、会場までの山道を10分ほど歩く - そうして到着した先には - 

 元々空家だったという建物の内部を白い空間で再生させたという作品がお出迎え - 建物内は所々狭い空間にもなっていたり、ある地点からは2階にも上がり、そこから細い小路なんかを自由に歩き回り、そして1階に繋がっているという不思議な空間で、内部の設えそして迷路の中を歩くよう楽しさもあり、そしてここの大きな窓から北アルプスの絶景がどーんと目の前に広がっておりました。

 その後、展望所へ移動し、さすが展望所だけあってここから眺めた北アルプスはまさに絶景かな、絶景かな - フリークライマーの菊地良太さんの作品「尊景のための展望室」が空間に花を添えていました。

 と、まだここまで本日は4作品しか鑑賞していないのだが、お昼の時間近くになってしまった。この日は前日に連絡をくれた(旧北高等学校に作品を出していた)原さんリコメンドのラビットというジビエ料理のお店へ - この後のルートを考えるとこの展望所のとこからが丁度行きやすい場所でもあり、少し早いが昼食を取る事とした。

 それにしてもこのラビットというレストラン、広大な敷地内に羊やヤギが飼われており、その光景は何だか北海道のどこかを思わせてくれました。そしてここで私は鹿カレーを美味しく頂いてきました。

 東山エリアにはあと2つ作品があったのだが、やはり全て回るのは難しく泣く泣く断念し、お次は仁科三湖エリアへと向かう。ここも4箇所あるのだが南の方2箇所 - 木崎湖の湖畔へ。

 まずは淺井夏至さんの「おもいでドライブイン」へ、その後木村崇人さんの「水をあそぶ「光の劇場」」へ。
 
 - 木村さんは会場にもいらっしゃって、私が横浜から来た旨を告げると何と木村さん、先日(私がよく遊びに行く横浜の)Bankartでのグループ展にも参加していたとこの事でした。木村さんは現在、長野に移住して残念ながら横浜の会場には1度も足を運べなかったとの事でしたが、ここでBankart繋がりの人と会えるとは、と言った心境で作品を鑑賞したのでしたが、空家を改築した2階の展示スペースが素晴らしかった。
 どう素晴らしいかと言うと2階の一室に流木で設えたインスタレーション作品があったのだが、何とその流木に腰を降ろし窓の外に広がる木崎湖を眺める事ができるのだ。しかも景色が広がりを持つように工夫もされており、このインスタレーションは空間アートとしても、そしてそれを利用して楽しめるという2つの要素があり、うーむ素晴らしい、と思わず唸ってしまった。

 いつまでもこの景色を見ていたかったけれどそういう訳にいかず、本日最後のエリア - ダムエリアへ。

 今回の芸術祭で1番離れたところにあるエリアだ。とはいえここ木崎湖からだと30分ほどで行ける距離である。 比較的なだらかな渓谷に沿った道をぐんぐん南へと進んでいるとそれは突然現れた。
 
 - 遠くから何となしに見えていた訳でなく、本当に突然と我々の目の前に現れたのは何と高さ125m!もある石積みのダムだ。まさに目の前に突如して現れた壁である。作品云々よりもこの石積みの巨大さにまず圧倒された。そして、そこから見下ろした先には磯辺行久さんの作品「不確かな風向」が広がり、もう何もかもに圧倒されっぱなしで言葉がなかった。

 そして、この石積みの壁の脇に申し訳程度に階段が造られており、みなそこを登っているではないか。この壁の向こうには何があるのかやはり私も見てみたくなり、息を切らしながら上まで登ってきました。

 そして階段を登り切ったそこには ー 。

 興奮冷めやらぬまま、お次はトム・ミュラーさんの作品「源泉<岩、川、期限、水、全長、緊張、間>」 - 巨大な岩を使ってのインスタレーション作品だ。巨大な岩の作品は2年前の中之条ビエンナーレでもあったのが、やはり自然と一体となった作品には厳かさみたいなものを感じる事ができた。

 岩を堪能した後は、ダムエリア最後の作品 - 淺井裕介さんの作品へ向かおうかと思ったのだが、終わりの時間(17時)までもう少し時間がありそうだったので、昨日見る事ができなかった源流エリアの川俣正さんの作品「源汲・林間テラス」へ。ここではパフォーマンスも行われていたようなので、出来る事なら川俣さんの作品と共にそのパフォーマンスも見てみたかった。しかし、芸術祭でパフォーマンスまで見るってのは時間的にだったり、タイミング的に難しかったりで。。

 すっかり日も翳り始め、本日最後は淺井裕介さんの「土の泉」へ - 淺井さんの作品を始めて見たのは横浜でその頃からすっかりファンになってしまった私である。その後、私が出掛ける至るところ - 岡山の犬島で、青森で、そして勿論東京でと色々な場所でお目に掛かってきたのだが、今回もやはり見逃す訳にはいかない。 - 昨日見た大町名店街の淺井さんの作品は地上絵なる作品だったけど、今日見る作品は大町エネルギー博物館の壁面に描かれた巨大な作品だ。

 こちら2017年の第1回の展示で発表されたものを今回、再制作、メンテという作品でした。


 日もすっかり落ちてしまってライトアップされた作品はやはり淺井さんらしい作品で、どこか土着的でもあり優しさもありやはり好きな作品だ。 

 近くから来たのであろうか、小さな男の子とと母親がふらりと現れてその男の子が淺井さんの作品の細部に描かれた絵に色々と反応している様がとっても微笑ましかった。
 帰り、疲れたのか男の子は母親におぶられて帰って行ったのだけど、日頃都会で暮らしていると自転車の後ろやベビーカーに乗せられた子供はよく見かける事はあるが、そういえば母親の背中におぶられている子供の光景は久し振りに見た気がした。そんな光景って何だかいいなぁと - 

 各エリアあちこちと巡っていたら何だかあっと言う間に終わってしまった芸術祭、最後はそんな母親と子供の残像が色を添えてくれ閉幕 - 自然と一体になった素晴らしき芸術祭でした。

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