田中達也さんのミニチュア世界、そして長崎の夏

 もう会期は終了してしまったが、長崎で田中達也さんの「MINIATURE LIFE展2 - 田中達也 見立ての世界」を見てきた。場所は長崎歴史博物館だ。以前、ここでは篠山紀信さんの写真展もやっていたりと長崎の歴史だけ展示している空間ではないようだ。今更ながら知ったのだが、田中達也さんは実は熊本出身で、九州の人だったのかと新たな発見もあった。

 田中達也さんの作品は以前、NHK連続テレビ小説のオープニングにも使われた事があるミニチュア作品でもあるので、見た事ある方もいるかもしれない。フランスパンを列車のホームに見立てたりといった感じの作品だ。私も作品自体はちょこちょことメディアなんかでかいつまんで見た事がある程度であったので、今回まとめて見る事ができてよかった。

 正に彼自身も言っているように彼が作り出す世界は”見立て”写真であり、そう言えば小さい頃ってこんな風に色々とモノを見立てて想像しながら遊んでいたようなぁ、いつからそんな想像力を無くしてしまったのだろうと改めて思わせてくれる作品の数々・・・それにして、そんな意味でも田中さんはいつまでも子供心を持っていらっしゃるのだなぁと感嘆、感嘆、そして私ももっと子供心を持って世界を見なくっちゃと気付かさせてくれました。

 それにしても色々と芸が細かく、展示にも色々と仕掛けがしてあり楽しませてくれました。例えば、額装された作品の額縁の中にミニチュアの人を配置してみたり、実際に自分がミニチュア作品の中に入り込んで撮影できるようになっていたり、作品製作の過程を流したビデオ、作品写真の前に実際に作り上げたミニチュア世界を配置してみたりなどなど、彼はホント、撮影するだけでなく色々と発想しそれを形にしていくのが好きな方なんだろうなぁと思わせてくれた。

 後半は長崎にちなんだ作品も作ってくださっており、オランダの風景やちゃんぽんなど、そして、私が1番好きだったのは、(長崎の作品じゃないですが)カラフルなボタンを散りばめてプロポーズしているシーンを作り出している作品 - うーん、この作品は本当に素敵だった。そもそもメインビジュアルになっているバームクーヘンの虹を沢山の動物が渡っている作品も実に楽しげである。

 同じ九州と言う事で会場にも来ていたのだろうか、所々にサインも。

 それにしてもこれ位面白い展示であれば長崎県立美術館でもやってもいいような気もするがその辺、何かシガラミか何かあるのか、それとも歴史博物館も(長崎の歴史を紹介するだけでなく)こう言ったアートにも今度力を入れていくと言う事でもあるのだろうか、とそこはあまり深く考えないことにしよう。

 
 話は変わり、それにしても今回の長崎は雨ばかりであった。長崎へ飛行機での移動の日こそは晴れて空から佐世保辺りの景色も楽しめたのだが、その後はずっと雨、雨、雨。

 そして滞在5日目の午後にようやく小降りになりどうにか出掛ける事が出来、田中さんの展示へ。しかし展示を見終わってからも雨もまだ降っていたので、(歩くのは止めて)歴史博物館からバスに乗って大波止方面に行ってみた。

 普段、私は路面電車ばかり使い、バスには滅多に乗らないという事もあり正確に降車停留所が分からず、運転手さんに尋ねた。すると運転手さんは丁寧に教えてくれ、しかもバスには私1人だったというシチュエーションも手伝ってか、気さくに私に語り掛け始め、「実はいつもは高速の運転手をやっているんですが、今日は雨で高速が不通になり、市街地の運転手として借り出されとるんですよ」なんて話をしてくれた。降りる時も親切に帰りのバス乗り場も教えてくれ(帰りは私は路面電車を利用したのでバス亭の場所は特に知る必要はなかったのだけど)、「お気をつけて」なんて仰ってくれ何だか心温まる運転手さんでした。

 そしてその翌日、8月15日は精霊流しの日だ。こちらは今年も規模を小さく&早い時間に終わるようにして催された。この日は滞在期間中1番の天気となり家族でお墓参りに出掛け、その帰り食事をしその後に精霊流しを少しばかり見る事ができた。

 小さい頃は爆竹の音がうるさいイベントと言う印象が強かったが、やはり大人になって見る精霊流しはちょっとばかしもの哀しいイベントである。派手に爆竹を打ち鳴らし、初盆を迎えた家々が故人を賑やかに西方浄土に送り出す行事であるのだが、やはりどこかもの哀しさがつきまとい、長崎らしいお盆の夜でした。

 結局帰りの飛行機に乗る時も雨

 という訳で今年の長崎の夏の思い出は、雨の景色、と言う事になりそうだ。

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