大原、宝泉院の紅葉

 もしかすると国内旅行で1番訪れた事がある町は京都かもしれない。友達も沢山居ると言うのも理由の1つだけど、私は(きっと私だけに限らず誰しもがと思うが)京都の町がとても好きで昔は年に1度は必ず訪れる、そんな時期もあった。

 そんな京都の北にある大原はこれまで訪れた事がなかったので今回訪れてきた。京都市内からバスで約50分程の道のりだ。

 当初、地下鉄に乗って程度北上してそこからバスに乗ろうと思っていたのだが、宿を出る直前に再度ルートを検索したら、四条烏丸からもバスに乗れるというのが分かり(京都駅発だとは分かっていたが1度駅まで出るのも憚られ)、四条烏丸なら宿からも近いので、そこから乗る事にした。 しかし四条烏丸まで行くと色々バス亭があり、どこが大原行きの停留所なのかよく分からない。色々と彷徨って、四条よりちょっと南下した仏光寺通り辺りにバス亭はあった。

 -大して乗客は居ないだろうと高をくくっていたら、そんな事はない、バスはぎっしり満員、私が乗った時点で既に立っている乗客でいっぱいだった。

 大体がみな大原を目指しており、おかげで40分ほど立ったままの乗車となり、到着する前に疲れてしまった。どうやら大原のちょっと手前に登山口があり、トレッキングや登山客が沢山乗っていたようで、そこでどっと人が降りた。 - 最後10分ほど座れたと行った感じで、もしあのまま座れなかったら、到着したら取り敢えずどこかに座ろう - そんな事を考えながらのバス旅だった。 - なので、今後みなさんが大原に行くなら始発の京都駅から乗車したがいいかもしれない。

 ちょっぴり疲れはしたがそんな疲れを余所にバスを降りると美しき紅葉の大原女(おはらめ)の小径、そして満開のコスモスが出迎えてくれた。

 大原と言えば有名な歌にあるように三千院である。しかし、今回の私の1番の目的は宝泉院である。歩いていると三千院が先に現れたので入ろうか悩んだが、午前中の空いている時間に行きたいところに先に行こう、と思い三千院は通り過ぎ宝泉院へと向かった。 - 結果、これが正解で、宝泉院そして勝林院と午前中に回ったお陰で比較的人も少ない時間帯に見て回ることができた。

 正午を過ぎるとさすがに人が増え始め、三千院を訪れた時は人がとても多かったけど、今回は三千院おまけ的な感じだったのでよしとしよう。

 宝泉院 - 今回こちらを訪れたとのは五葉の松の額縁庭園を見る為だ。入り口でチケットを購入 - チケット代は800円だったけど、プラス200円出すと隣にある勝林院の入場チケットもセットになっていると言う事で、1,000円で両院のチケットを購入 - 何も知らずに両方のチケットを買ったのだけどセットで買っておいて良かった。と言うのも宝泉院はそもそも勝林院の宿坊で、勝林院の方こそメインとも言うべきお堂でした。そんな事も知らずに宝泉院に出かけた訳でしたが。。

 さて、所望の額縁庭園はやっぱりと言うかやはりと言うか人が多く、引きで撮ると人込みの写真になり、近寄って撮ると額縁にならない。なので、妥協して撮影は取り敢えず額縁なし庭園で。額縁的なのは自分の眼で見て来たのでよしとしよう。

 庭園を眺めながらお抹茶を頂き、お坊さんのありがたい話 - この院に纏わるお話だ - を聞きながらしばし、のんびりしてきました。

 庭園を眺められる間(ま)は、人が入れ替わり立ち代りやって来るので、ちょっと離れた場所 - 裏口玄関のようなところ - を見つけたのだがその空間が実に良かった。他の人の声も殆ど聴こえて来ずとても静かだ。
 しばしここで思索の時間となり、金沢の鈴木大拙館で過ごしてきたのと同じような時間を過ごすことができた。

 お坊さんのお話では、宝泉院の額縁庭園は「盤垣(ばんかん)去りがたし」という事から「盤垣園」と呼ばれているというお話でしたが、私にとってこの裏口玄関がまさに盤垣去りがたしの場で、去るタイミングを逸しつつも(こういう時はいつも去るタイミングが難しい)、重い腰をようやくあげて建物を後にした。

 建物の外に出てみると敷き詰められている石段が裏庭の方に続いている。順路的なものに従って歩いているとくと宝楽園という庭園に出た。程よいサイズのこの庭園が実に良かった。見上げると紅葉、足元に目を向けると苔むした台地に紅葉した落葉などなど - 色づいた葉が青い空や苔むした台地に映えていました。

 額縁庭園だけでなく静寂、そして見事に紅葉した宝楽園などなど - 実に魅力的な空間でした。

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