大地の芸術祭 ~ 越後妻有2022 ~ に行って来た

 7月末に2泊の予定で行くはずだった大地の芸術祭、しかし諸事情で行けなくなってしまい、今回はもう行けないかも、、と諦めていたところ、友達に「日帰りで行くけどご一緒にどうだろう」と誘って頂き、この度行って来ました、大地の芸術祭 越後妻有2022。

 新潟は初、という訳で勿論、お初の「大地の芸術祭」は家を朝5時に出発するというなかなかの早起きでのスタートとなった。

 高速道路を暫く走っていると山がちの風景になり、辺りはいつの間にやらすっかりと田園風景。高速道路をどの辺りで降りたのかちょっとはっきりせぬまま、最初の展示、アメリカ人作家のjoylaboさんの「プールの底に」に到着。どうやらまずは中里エリア(6つのエリアの中で右下)に到着したようだ。

 水が張られていないプールの底にあるピアノも実際に弾く事もできるのだけど、何処からともなく自動で流れているピアノの調べも聴こえてきており、それが自然の音(風や虫たちの声)と渾然一体となり、会場の空気を作り出していた。

 引き続き、歩いて次の作品へ - お次は青木野枝さんの「田の玉/白羽毛」だ - 鉄で出来たオブジェが妻有の大地に点在している。朝方の為か山間には霧が発生しており、朝のすがすがしい空気と共に作品を楽しんだ。

 それにしてもどこまでも広がる田園風景、これら里山の景色が実に美しい。

 中里かかしの庭を横目に見ながら更に車で進むと内海昭子さんの「たくさんの失われた窓のために」に遭遇。こちらの作品、今回とっても観たかった作品の1つだ。青い空に巨大な窓が実に映えている。この窓の先はどこへ通じているのだろうか、そんな事に想いを馳せながらお次はフィンランドの建築ユニット・カサグランデ&リンターラ建築事務所の「ポチョムキン」へ。自然の中に突如して現れる、鉄板で型作られた迷路のようなそしてまた庭園のような作品。ところどこに禅も思わせてくれる。作品郡の側には川と田んぼ、今回この作品が1番好きだったかもしれない。

  津南エリアへ 

 先ずは、かたくりの宿へ。ここは実は7月に泊まろうと思っていたところ。元々小学校だった建物で、ここの体育館では原倫太郎+原游さんの「妻有双六」のスゴロク場がオープン。昨年行った北アルプスの芸術祭でもそうだったけど、お二人の作品は所謂、体験型でもあるので実際に遊ぶ事も出来て楽しい。会場の隅には作品の1つでもある卓球台もあり、こちらで私は卓球を楽しんで来ました。しかし、ここの宿、ぜひとも泊まってみたかった。

 旧津南小学校大赤沢分校、そして苗場酒造と回り、酒造で早崎真奈美さんの「Invisible Grove~不可視の杜~」を堪能。中之条でもそして北アルプスでもよくよく会場となる酒造。酒造とアート作品の相性がよいのか、どの芸術祭でも作品が素晴らしく、酒造のお座敷で展開されていた作品もとても凜としており、襟を正して鑑賞してきました。

 そろそろ、お腹も空いくる時間帯に。という訳で今回のお昼は上郷クローブ座レストランへ。こちらではEAT & ART TAROさんのお料理に合わせ地元の女衆さんたちがパフォーマンスする「銀河鉄道北越雪譜号」ショーも展開され、こちらは先ほどの双六作品の原倫太郎さんが演出と脚本を担当していました。

 これからお腹の中に入れる料理について一品づつ演じられるパフォーマンス、目の前の料理とお芝居がシンクロし、そして女衆さん達の熱のこもったパフォーマンスも堪能できました。食事も体に優しいものばかりで大・大満足、でした。

 松之山エリアへ

 お腹を満たした後は塩田千春さんの「家の記憶」へ。塩田さんの作品は横浜で鑑賞して以来だ。あの時は赤い作品でしたが、今回は黒一色、と言った感じで使われなくなった古民家にとってもマッチ、受付のおやっさんの古民家やここいら辺りの雪のある暮らしの話なども興味深かった。

 その後はボルタンスキー「最後の教室」へ。瀬戸内の豊島や目黒の庭園美術館、そして長崎などなど色んなところで目にしてきたボルタンスキー。今回は豊島の心臓音のような作品で、ボルタンスキーらしい暗闇の中、点滅する電球の廊下の先には、、広大な体育館一面に広がるインスタレーション、圧巻でした。

 さて、どんどん行きます。お次は松代エリアの「農舞台」へ

 建物の入り口付近にはカエルのオブジェや自転車の作品がお出迎え。

 そして会場となる農舞台内や屋外では、旧ソビエト(現ウクライナ)の作家イリヤ&エミリア・カバコフの作品をメインに堪能。特に農作業をする人達をかたどった「棚田」、そして平和・尊敬・対話・共生を象徴する「手をたずさえる塔」がよかった。この塔のルックス、ちょっとばかし旧共産圏の香りがし、何だか好きな作品でした。

 日も暮れかかり最後は十日町エリアへ

 ここ十日町エリアでメインとして見て回ったのは、里山現代美術館 MonET - こちら、美術館が四方をぐるりと囲み、その中央にオアシスのような水場が広がる何とも素敵な美術館であった。子供の膝下ぐらいの水場では子供たちが水遊びをしたり、大人達はその回りでぼーっと時間を過ごしたり。

 この感じ、何かに似ている、と思ったら、そうだ南インドのゴープラム(寺院の門)に囲まれた寺院のようだ。寺院の門をくぐり回廊を進んでいくと中央に沐浴場が広がり、そこで遊ぶ子供達はさすがに居ないが、夕涼みをしている大人達で賑わう - 南インドで過ごしたそんな日々を思い出す何だか懐かしい気持ちになった。

 そして、折りよく20分後に中谷芙二子さんの「霧神楽」が始る時間であった。中谷さんの霧の作品は昔、道後のオンセナートで見て以来だ。水中にはレアンドロの「Palimpsest:空の池」(建物が水面に反射しそこに青空があるように見せている所謂レアンドロらしいトリック的な作品)も施されており、中谷さんとレアンドロの作品を同時に見られるなんて、何て贅沢な!である。

 最後はちょっと駆け足になったけど、美術館内の作品を堪能し、併設されている明石の湯へ。いやー、ここで1日の疲れが取れ、いい湯でござった。

 湯から出ると直ぐそこはオアシスのある美術館。空も赤く染まりかけ、夕涼みするには持って来いの時間と場所であった。水辺では子供達まだ水遊びをし、そんな姿を最後眺めながら今日という1日が終わろうとする、何とも贅沢な美術館であった。

Leave A Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA