映画「ブルーノート・ストーリー」を観る

  - 普段は専ら、カリブ海ミュージックを聴いている私ですが、10数年前頃からJazzもちょっとずつ聴き始め、最近は家に居る時のJazz頻度も上がって来ている気もする。とは言いましてもまだまだJazz初心者のわたくしですが、この度、映画「ブルーノート・ストーリー」(原題は「It Must Schwing! – The Blue Note Story」)を観て来ました。 - 製作総指揮はヴィム・ベンダース
 
  「人生はシュウィングだ」ー。

   さて、Jazzレコードのレーベル「ブルーノート」の創設者がドイツ人2人によるものだと、そう言ったことも映画の中で初めて知った私で、往年のJazzファンからしたら「そんな事すら知らずに」とお叱りも受けそうではあるが、それ程の知識であったからこそかもですが、ブルーノート創設時の話、そして往年期を経て、2人の最後まで丁寧に描かれた本作、Jazzの大音量と共に見応えがあり、やはり映画は映画館で観なきゃな、という事も含め非常に楽しめた映画でした。

 このドイツ人の2人、アルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフ(ライオンとウルフなんて何か凄い名前と同時に因縁めいている)が何故ニューヨークでJazzレコードのレーベルを立ち上げる事になったかと言うと、結局のところ2人は戦時下のドイツでナチスの迫害から逃れる為にニューヨークへ脱出、そして、元々Jazz好きであった彼等がそのニューヨークで名プレイヤー達に出会い、そしてレコーディングを始めていくというストーリーであり、、 。

 実際の問題としてナチスのヨーロッパへの侵攻はアート界にも影響を与えており、パリ侵攻により多くの芸術家がアメリカに渡った為、その流れからジャクソンポロックやウォーホールなどの現代アートへの潮流が生まれ、それまでの芸術の中心だった地がパリからアメリカへと移っていくきっかけになったとも言われ、何だか音楽の世界でも同じ事が起こっていた訳で、結局戦争がもたらすものは、その地での芸術の後退でしかないと思う。

 折しもブルーノートが初レコーディングを行った1939年はドイツ軍がポーランドに侵攻した年でもあり、何だか2022年の現在と状況が重なり悲しいばかりである。

 
 映画のストーリーとしてはそんな2人の出会いや往年のプレイヤー達へのインタビューを交えた構成で進み、少しばかり残念だったのは2人の回想シーンが3Dのアバターの造りで、個人的には2Dとか古い写真とかそんなもので表現してもよかったかなとも思ったけど、かなり作り込んであったクォリティーは凄かったです(まぁそこは好き嫌いというところもあると思う)。

 写真家でもあるフランシス・ウルフ、彼の写真はLPジャケットに数多く使われており、これまで何気に目に触れてきたジャケットの数々が彼の写真によるものだと今回初めて知りました。

 そのジャケットの数々をアニメーションで紹介するシーンがあったのですが、そのアニメーションもよく、何よりジャケットのデザインセンス - 色使いやデザイン性 - がとっても秀逸でした。エンディングのアニメーションもよかった。

 こちらの映画、3月11日(金)から1週間だけ限定で公開なのですが、よかったらご覧になってみてはいかがでしょうか。ブルーノートの事、この映画でかなり詳しくなり、今後ブルーノートのJazzを聴いた時に音楽の幅が広がりそう。


 さて、「人生はシュウィングだ」 - 何の事か?こちらは本編でお楽しみください。

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