奄美大島紀行 ~ 泥染め体験、田中一村美術館

 2023年、今年のGWはどこに行こうか思案した挙句、沖縄北部の島々案から紆余曲折し、結局まずは奄美大島へ行く事にした。

 私にとって奄美大島と言えば、大島紬(つむぎ)や日本画家の田中一村のイメージでいつかは訪れたいと思っていたところだ。そんな訳で今回は染物体験、そして田中一村美術館を巡るべく、羽田発奄美大島行きの飛行機に乗り込んだ。今年も沖縄に関した本を片手に飛行機の旅、約2時間半のフライト予定だ。

 今回奄美大島は2泊する予定で、繁華街の名瀬には滞在せず空港近くの宿にしたという事もあり、レンタカーを2日間借りっぱなしにする事にした。空港近くで車を受け取り、早速、昨年八重山の黒島で出会った方に教えてもらった土盛海岸へと向かった。

 行く途中、道路標識に「あやまる岬」とやたらと出てくるので、きっと風光明媚なところだろうと思い、まずは土盛海岸より少しばかり先にある、この岬に向かう事にした。いつもながらの特に何も決めない気ままな旅である。

 到着してみると、予想通りの素晴らしき眺望、そして南国らしい濃い赤色の花が青い海と空に映えている。遠くに見えるのっぺりとした島は喜界島か。そしてここにはカフェもあり、あぁ、絶景かな、と到着早々休憩。

 天気も良好で、順調な旅の滑り出しである。

 去りがたしあやまる岬を後にし、お次は土盛海岸へと向かう
 -もう海に入っている人もいたが、やはりまだ海水は冷たく、しかも、今回はいつもの八重山を旅する感覚でいたのだが、八重山よりも少しだけど北に位置する事もあり、思っていたよりも肌寒い。緯度のちょっとの違いで、これ程気温に差が出るとは思っていなかったので意外であった。

 空港に到着したのが午後3時だったので、初日として見て回れるのはこれ位であろう。ここから本日の宿マリンテラスへと向かう。空港近くはそれ程宿の選択肢がなかったというのもあるけど、今回は宿の裏が直ぐに海になっている事も決め手となりこの宿を選んだ。滞在中はそれ程動き回らず、宿を拠点にのんびりしようかと思う。

 宿では看板犬のマリンがお出迎え。

 テラスになっている庭には皇帝ひまわりが咲き乱れ、その先にあるととろの森のような茂みを抜けると目の前に広がるのは海!リピーターが多いというこの宿、納得である。

 翌日、この日も快晴だ。今日は先ずは染物体験へ - 

 奄美大島には幾つか染物体験を行っているところがあり、今回選択したのは夢おりの郷さん。事前に用意していたTシャツ持参で、いざ染物体験。藍染めと泥染め、両方やりたかったが、どちらか1つという事で、思案に思案を重ね、藍染めのTシャツなんかはよく見掛けるけど、泥染めはあまり見ないよなぁと思い泥染めを選択。

 そして、先生というか本日教えてくださる職人さん登場。まずはTシャツで染めたくない箇所を輪ゴムや洗濯ばさみで縛ったりする作業を行うのだが、これがなかなか難しい。染め上げられたサンプルとなるTシャツを見つつ、分からない箇所は職人さんに質問し出来上がりをイメージしながら作業していくのだが、最終的にどうなるのかイメージするのが難しい。まぁ初めてでもある訳なので半分は(染めてみて結果そーなったか!という)博打的な要素も含めての準備が終了。そしていよいよ染め工程の開始だ。

 石灰とテーチ木の染料にそれぞれ交互にTシャツを漬け込み、混ぜ合わせた後、脱水という具合にこの工程を3回繰り返す。そして、その後、桶に入った泥に入れてまた混ぜ合わせ、それが終わるとまた石灰とテーチ木それぞれに交互に漬け込んで混ぜ合わせる・・・というこの工程をまた3度繰り返す。

 最後はいよいよ外に出て、直径2m程の長さに掘られた穴の中に入り、その中でTシャツを染め上げる。穴の深さは膝下ほどの深さだ。Tシャツを泥の中に入れ、混ぜ合わせ絞ってまた泥の中に入れ・・・とこの工程も3度繰り返し、これにて完了。最後は水洗いをして脱水すると出来上がりだ。

 思ったよりも大変な工程だったけど、いい感じに仕上がった気がする。

 最後、今回教えてくださった職人さんを撮影。職人気質な方だったけど、最後ピースサインで応じてくれたのが何だか意外な気もしてほっこりと。

 一旦宿に戻り、本格的に宿の庭に染め上げたTシャツを干して、田中一村美術館へ。田中一村は奄美出身ではないのだが、南国に惹かれてか50歳で奄美に移住し、亡くなるまで奄美で絵を描き続けた画家だ。

 途中、道路沿いに鶏飯の幟を発見。どんなものかよく分からなかったが、どうやら名物のようでもあるので迷うことなく入店。

 宮崎の冷汁みたいなのをちょっと想像していたけれど、暖かい出し汁に浸かったご飯だった。

 暑いところでは熱いものを食して汗をかく、と理に適っているような、身体が喜ぶ食事でした。

 それにしても天気がよい。こんな日は海水浴に限る気もするが、染物や美術館巡りとなった1日だけどまぁ仕方がない。

 田中一村の作品は実はこれまでそれ程沢山見た事もなく、日本のゴーガンと呼ばれていたりして、南国のイメージが強く、色彩豊かな画家、という位のイメージしかなかったのだけれど、今回は田中一村尽くしで数多くの作品を観る事ができ、また奄美大島での彼の暮らしぶりや生活していた家なんかの紹介もあり、彼に関する沢山の事を知る事ができた。

 美術館は各展示室が奄美の昔ながらの高倉をイメージした部屋が回廊で連なり、中央部分には水辺があるという造りで、とっても素敵な美術館だった。

 何と言ってもやはり、地方の美術館だと人も少なくじっくりと作品に向かい合う事ができ、田中一村をじっくりと堪能してきました。

 最後は倉崎海岸へ - ここも昨年黒島で出会った方がお勧めしてくれたビーチだ。

 車のナビに従い付近まで到着し坂の上にある駐車場に車を止めたが、辺りにビーチらしい気配がしない。丁度坂の下から1人の女性が歩いて来たので、ビーチの場所を聞いたら、親切にもビーチ近くまで案内してくれた。聞くと鹿児島市内出身だけど、奄美の自然が好きで移住してきたとのこと。そうか、ここにいると鹿児島県というか、九州に居るという事すら忘れかけていた。

 ビーチに到着すると遠く1人女性が貝拾いをしている姿があるだけで誰もいない。静かなビーチに佇み、広い空を眺め深く深呼吸 - 奄美の海、空、自然を心と身体で感じる事が出来た。

 ビーチもそこそこに堪能し、一路宿へ - 宿に到着すると看板犬のマリンが首を長くして私の事を待っていてくれた(と思う)。