与論島紀行・前編 ~ カキ氷の味咲、大金久海岸、ヨロン駅

 奄美大島の次は与論島へ - 二島の間にある徳之島、沖永良部島はまた今度訪れることにしよう。

 ここまで来ると沖縄北部はもうすぐ側で、その距離わずか23km。その為あってか沖縄文化も島のあちこちに垣間見る事もできる。

 それでも感じたのは沖縄とはまた一味違ったこの島独自の良さというものであった。

 飛行機はやや遅れ12時ちょっと過ぎに与論空港に到着。空港の外に出ると今回宿泊する宿 - 南風荘 -のおじさんがワゴン車で迎えに来てくれた。宿は島の南東の集落に位置し空港から車で10分程らしい。車は長閑なサトウキビ畑の風景の中を走っていく。

 宿に到着すると女将さんが出迎えてくれ、島の事について色々と教えてくれた。聞くとここから与論のいわゆる繁華街と呼ばれている茶花と呼ばれるエリアまでは車で10分程掛かるらしい(茶花も空港近く、島の北西エリアだ)。そしてこの宿の周りには食事できるところが1軒もないとのこと(1つあったのだがコロナの影響で閉店したらしい)。

 バスも一応走っているが本数も少なく夜は走っていない為、茶花で食事した場合はタクシーで戻る事になるらしい。歩いて直ぐのところに商店もあるのだが、お弁当は午前中の内に売切れてしまうという事もあり、滞在中の3泊4日間、ずっと原チャリを借りることにした。

 親切にも女将さんがレンタカー屋さんに電話してくれ、10分後、今回の滞在中でお世話になる原チャリ - Dioが到着した。3泊4日借りて僅か8,000円とお徳であった。

 早速部屋に通してくれたが、よくよく考えたらまだ13時頃。チェックインの時間にしては早いのでは?と思ったが、ま、いっかと部屋に入る。古い宿ではあると女将さん自身も言っていたけど、隅々まで掃除が行き届いていて、とても快適だった。何よりもご主人も女将さんも人柄がよく、宿の玄関やロビーには色んな花も咲き乱れていて、結果とてもお気に入りの宿になった。

 そして、私の部屋の直ぐ裏手にはサトウキビ畑が広がり、窓を開けるとさわさわと聞こえてくるサトウキビ畑の音が心地よくこのまま眠りに落ちてしまいそうだ。

 夕方、宿近くの赤崎海岸へ出掛けてみた。宿から歩いて15分ほどの距離でもあるので、散歩に丁度よい。道は簡単ではあるけど、一応地図を確認しながら歩いていると後方から突然「こんちは~」と声を掛けられ、「あ~、びっくりした~!」と思わず声に出すほど本当にびっくりしてしまった。見ると自転車に乗ったヘルメット姿の中学生位の女の子2人組みだった。慌てて私も「こんちは~」と声を掛けると2人はニッと笑って自転車でまた何処かへと走り去っていった。

 そこから暫く歩くと赤崎海岸に到着、しかし夕方という事もあってか誰も泳いでいない。というか、誰もいない。後で聞いた話だとこの辺りは風も強く今の時期はあまり海水浴にも適していないとのことであった。

 仕方なく、ぶらっと適当に歩いていると雰囲気のよいお店を発見。メニューを見ると食事もあるがカキ氷のお店のようだ。そして、中には先ほどの中学生2人組みが居て、あ、また会いましたね的な感じににっこりと。私も早速中に入り、ブルーヨロンとイチゴミルクのハーフ&ハーフをオーダー。”小”でも十分な大きさで値段はたったの350円。うん、昨今東京辺りだとカキ氷で1,000円以上も取ってるけど、これ位がカキ氷の適正価格だよなぁと改めて思う。

 お店は夫婦2人かな?でやっていて、カキ氷を運んできてくれたおじさんはちょっと無骨そうだったけど、先ほどの中学生2人組みが帰る時、「気をつけて」といつまでも手を振り、2人も「ありがとうございました~」と言いながら去っていくのがとっても印象的だった。

 宿に着いた時からなのか、この時からなのか、与論島、とってもいい島だなと思い始めた。

 2日目 - 旅中恒例の朝の散歩。島の北側を目指して歩く。と言っても本当に何もない。あるのはサトウキビ畑と青い空。途中コスモス畑も見つけたが、こんな時期にコスモスが咲くとは何だか珍しい。

 快晴とまではいかないまでも薄日の差す1日となりそうだ。道の途中に「かごしま」という文字を見つけ、そうかここはまだ鹿児島だったかと今更ながら思い出した。

 この日、午前中はまず大金久(おおがねく)海岸へ行ってみた。与論島の中でも有名なビーチだ(と思う)。何故有名かというとこの海岸の沖合いに大潮の時期にだけ出現する幻のビーチと呼ばれる百合が浜があり、その拠点となっているビーチでもあるからだ。

 海岸入り口の道を歩いていると左手におばぁ手作り?の貝殻アクセサリー露店販売が3軒ほど並んでいた。折角なのでちょっとだけおしゃべりして写真を1枚撮らせて頂いた。

 海岸は朝早い為か人もあまりおらず静かだ。しかし波もそれ程なく、海水もそれ程冷たくなく、一泳ぎする。今回の旅でまともに泳いだのは初だ。海のまにまにぽかりと浮かびながら大自然の息吹を感じる。至福の時だ。


 お昼はビーチ近くの薬草カフェ・ピクニックさんでカレーを食す。とっても美味しかった。この辺りはお店が少ない為か、満席だったのだけれど、相席オッケーの人がいるとの事で席に案内されたところ、偶然にも同じ宿の人で1人旅している男性だった(宿で見かけた程度でこの時始めて言葉を交わした)。聞くとこの日午後の便で船に乗り、沖縄北部の港・本部(もとぶ)に行ってしまうとのこと。

 「いや~、丁度今日明日辺りのタイミングで百合が浜が現れるので行きたかったんですけど、宿が予約できず今日の船で沖縄に行っちゃうんです」と、とても悔しがっていた。百合が浜までは渡しの船で3,000円も掛かるし、まぁただの浜でしょ、的な事であまり興味が沸かなかったのだけれど、こんな風に行きたがっている人を見ると、というか、しかも今は絶好のタイミングらしいという事を聞くと、行ってみようかな、という気になってきた。

 ひとまずこの後、舵引きパンナへ - 沖縄辺りでは小高い丘の眺望が開けているところは、何とかバンナなんて呼ばれているけれど、さすがに言葉が似ている。風光明媚であったけど、天気がちょっと曇り気味だったのが残念だ。

 その後、原チャリを更に走らせ、空港近くのヨロン駅へ - 当然ながら電車は通っていないのだけれど、沖縄を車で走るとお馴染みの58号線(通称ゴッパチ)、この国道が実は奄美大島、種子島と続き鹿児島市内まで通っていると知っている人は少ない。そう、ここはその海上の58号線を海上鉄道と見立て、ヨロン駅を設置しているとのこと。何ともロマンチックな謂れである。

 因みにレールの一部と車輪は当時の鹿児島鉄道管理局から頂いたものであるらしい。

 そんな訳で明日は百合が浜へ向かおうと思います。 - 後編へつづく