八戸にて横丁歩き、素敵な本屋との出会い

 今回の十和田への旅は八戸駅を拠点として巡ってきた。東京から新幹線で行くと仙台、盛岡など主要都市の駅に停車し、その後で八戸駅に停車する訳で、私はここ八戸駅周辺がメインの町だとすっかり思い込んでいた。

 しかし、いざ八戸駅に降り立ってみると駅前は実に閑散としており、目に付くのはホテルが2軒と居酒屋も2軒程、あとはドトールコーヒーがあると言った程度であった。到着してみて分かった事だが、実は八戸の繁華街は在来線でここから更に2つばかり先に行った本八戸駅周辺であった。

 八戸駅前に置いてあった無料のエリア・マガジンを手にしてみると本八戸駅近くには幾つかの古い町並 - 横丁 - があるとこのことで2日目の夜、早速出掛けてきた。

 聞くところによると八戸の町(ここで言うのは本八戸駅前、とややこしい)は、軍港があった港から少しばかり離れていた為、戦時中の空爆を逃れ、その為、昔ながらとでも言おうか、ごちゃついた町並が広がり、幾つかある横丁や細い路地はちょっとばかり迷路のようでもあり、歩いていてなかなか楽しい。

 訪れたのが日曜の夜だったせいもあり、閉まっているエリアも多かったけど、週末の夜ともなれば、活気があり楽しそうな町であった。

 駅から歩いてまず最初にあるのが、みろく横丁 - 三日町と六日町の間にあるので「みろく」らしい。因みに町名は市が立つ日にちなんで付けられているそうで三日に市が立つので、三日町という具合に名付けられているとの事。

 みろく横丁はどことなく、新しい感があり、そう言えばこれと同じ雰囲気の横丁が函館にもあった気がする。こんな感じの造りは北国ならでは、なのであろうか。

 この横丁を通りぬけ、更に進んでいくと細々とした路地が広がっていく。雰囲気的にはバンコクの古い通りのようなところもあったりでぶらぶら歩いていると何だか色々と懐かしい気持ちになる。

 その中の1つ、たぬき小路は、八戸最古の横丁とのことで、古い雰囲気は正に昭和を感じさせてくれる横丁であった。

 前述したように殆どのお店が閉まっており、今回は横丁をふらっと歩いたのみ。そんな事もあり、普通の居酒屋に入って来ました。コロナ禍になって以来、すっかりとお酒の量も減ったので特に居酒屋でなくても良かったのだが、今回は冊子でたまたま見かけた日本酒「陸奥八仙」のピンクラベルが気になり、折角だからと美味しい魚と一緒に味わってきた。ピンクラベルだけあって女性向けなのか、フルーティでとっても美味なお酒でした。

 そして、隣のテーブルで飲んでいた六十位のおじさん(定年したと言っていたので六十位と思われる)が地元の人だったのだけれど、何だかいつの間にかお互い話すようになり、八戸の事に付いて色々と教えてくれました。

 先ほど書いた三日町の名前の由来とか、後は、八戸駅は元々はというか、新幹線が通る前は尻内駅という名前だったなどなど、八戸の歴史なんか教えてもらい、一緒に飲んで楽しき一時でした。

 本八戸駅から八戸駅への最終は21時49分と早い。駅まで歩く距離も考え、間に合うよう早めにお店を出ると、このおじさんが、私が駅までちゃんと行けるか、そして最終を逃さないか心配してくれ、結局駅まで見送ってくれ、私が改札を通るところまで見届けてくれました。

 そんな一期一会もあって、やはり、旅はいいものだなぁと改めて思ったり。

 翌日、新幹線の時間まで再び本八戸駅へ - 昨夜行けなかった横丁を幾つかぶらっとし、この日、最後は八戸ブックセンターへ

 この八戸ブックセンターは市が運営している本屋さんで、店内にはジャズが流れ、弘前で焙煎している美味しいコーヒーも出していました。

 そのコーヒーを飲みながら、店内では棚にある本も自由に読め、何と言っても沢山興味深い本も揃えてあり、うーん、こんな本屋さんが近所にあったら毎日のように通いたいなぁと思わせてくれる本屋さんでした。

 中には展示スペースもあり、この日はグラフィックデザイナーの中條正義さんの展示も開催されており、こちらも楽しめました。

 最後は八戸駅に戻り、新幹線へ - 結局また八戸駅に戻らないといけないというのもあるが、在来線が1時間に1本ほどしかないので、時間の調整がうまく行かず、少しばかり八戸駅でも時間が余ってしまった。

 どうしようかと思案したのだが、駅前にある「ユートリー」という建物に行ってみると、三社祭の山車が飾ってあり、凄い迫力!でした。その後、近くに図書館を丁度見つけたので、こちらで一息ついて帰りの新幹線へ乗車。

 結果、今回は美味しいお酒も飲めて、人との出会いもありで、素敵な町、八戸でした。