小泉長屋、どこまでも繋がっていく

 -そうだ、海へゆこう。と思い立ったはいいものの自転車となると鎌倉までは遠すぎるし、羽田方面に南下となると工業地帯になってしまい、あまり風情も感じられない。

 私は普段ラジオをよく聴いており、大体がInterFMというチャンネルを聴いているのだが、これまた何気なく聴いていたら、ラジオの向こうから「こちら天王洲スタジオは・・・」との声が。そうだ、天王洲まで行ってみようと思い立ち、自転車に跨り早速出発-多摩川を超えて多少アップダウンはあるものの、品川区の旗の台まで30分ほどで到着した。

 その昔-とは言えもう!20年も前の事だけど-私は品川区の旗の台に5年程住んでいた事があり、その頃は自転車ではなく、モーターサイクルに乗ってよくお台場とかそれこそ天王洲方面に出掛けていた。なので、旗の台まで着いてしまえば後は勝手知ったる道、地図を見ることなく天王洲まで行けるし、やはり道を知っているというのは走っていて安心感がある。

 天王洲ちょっと手前の旧東海道に一旦自転車を停めてこの辺りを散策-実に20年振りだ。なつかしい。

 確かこの辺り、路地に入ると通称”小泉長屋”と呼ばれる嘗ての武家屋敷跡地があり、以前訪れた事があるのだが、その周辺一体は昭和の頃にタイムスリップしたような景色が広がっていた、と記憶しており、再び昔の記憶を頼りに小泉長屋一帯を探してみた。-が、記憶というものも割りといい加減で全く探しあてる事ができず、最後は文明の利器、地図アプリに頼ってしまった。
 
 辿り着いてみると、この辺り一帯、本当に昔訪れた頃と変わらず狭い路地、古い建物が沢山残されていた。最近はうちの近所でさえ開発が進んでしまい、どこもかしこも目新しくなってしまったので、このような風景は本当、貴重なものになってしまった。いつまでも残って欲しい景色でもありますね。

 もうここまで来てしまえば天王洲アイルは目と鼻の先、歩いてだって行ける。しかし、上を見上げると飛行機が低空でバンバン通っていたけど、いくら羽田が近いからと言っても昔はそんな事なかったような気がする。空路が変わったのか、はたまた昔は単にあまり気にしていなかったのか。。

 家を出てから自転車に乗る時間としては1時間ほど-片道15kmほどで天王洲に到着。海だ!というより正確に言うと運河なのですが、5月のこの季節、運河から吹いてくる風が心地よく、自転車を停めて所謂天王洲アイルと呼ばれるエリアを散策。

 この辺り、昔もよく訪れ散策していたのでとても懐かしい。
昔よく目にしていた野球場や運河に掛けられた橋なんかを楽しんでいたら、いきなり!目の前のビルに描かれた淺井裕介さんの壁画が現れた。しかもかなり巨大で、かなり驚いた。

 淺井裕介さんは最近私が最も好きな絵描きさんで、最初に観たのは-と言うよりこれも偶然観たのだけど-犬島という瀬戸内海に浮かぶ島だった。その後、彼の作品を見に行こう、というよりも行くところ行くところで偶然よく見かけるようになった。例えば道後オンセナートや青森県立美術館など。

 今まで見た彼の作品はどちらかと言うと茶色を基調した作品だったのだけど、今回のは水色を基調とし、とても珍しいな思っていたら、それもその筈、ここ天王洲の土地柄なのか、水をテーマにした作品-「どこまでも繋がっていく」-という、何だか今のこの時代にとってもぴったりだな、と思わさせてくれる作品で、この偶然の作品との出会いにとても感謝!しました。

 飛行機と、そして広角撮影

 この辺りにはアマナスタジオという写真スタジオがあり、以前友達が働いていた事もあり1度だけ遊びに行ったことがあった。その時は会社の中というより1階の打ち合わせスペースがお客様用のCafeになっており、そこでコーヒーを頂いて談笑した事がある。なんとも素敵なスタジオというかOfficeだなぁと記憶しており、その後、スタジオ周辺のウッドデッキやレストランがある一帯を友達と一緒に歩いた記憶があり、その辺りに移動し散策してみた。

 あれはもう7,8年前だったので、この辺りもすっかりお店も増えてお洒落な感じになっていた。折角なので、テラスのあるCafeに入ってレモネードだけ一杯飲んで帰ってきた。ビールを飲みたいのをぐっと我慢して。

 帰り道にまた、グラフィティを発見。遠くから何となく見えていた三味線を弾くカラフルなグラフィティアート、ARYZ(アリス)さんの「”The Shamisen”Shinagawa 2019」という作品らしい。この辺りはのんびり散策するのもよいし、グラフィティアートに触れ、少し疲れたらCafeでお茶したり、ぼーっと運河を眺めたり、と実にいい場所であった。

 うちからちょっと距離があるので-「よし、今日は行くぞ」と気合を入れないとまた行けないような場所でもあるが、また今度出掛けて散策してみようかと思う。

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