長崎県美術館で「ゴヤからピカソ、そして長崎へ 芸術家が見た戦争のすがた」を観る

 長崎県美術館で開催されていた『ゴヤからピカソ、そして長崎へ 芸術家が見た戦争のすがた』を観て来た。因みにこちらの展示は2025年9月7日で終了しています。

 美術館に入るとすぐ正面の共有エリアには大塚オーミ陶業株式会社さん所蔵で複製陶板<ゲルニカ>も展示。こちらは原寸大ということもあり、なかなかの迫力でした。

 早速チケットを購入し、2Fの展示室へ

 メイン展示室では6部構成、そして別室で「記憶の継承」と題して2名による現代アーティストさんの展示でした。

 メイン展示室では基本、撮影は不可でゴヤの作品のみ一部撮影可、でした。

 ゴヤと言えばこのチケットにある巨人の絵のように迫力あるものが思い浮かぶけど、最初にずらりと展示されていたのは「ゴヤが見た戦争のすがた」シリーズで、割と小ぶりの版画作品82点。一点一点まさに戦争のすがたが描かれており、当然ながらその凄惨さを表現した作品が多かったけど、作品が後半になるにつれ希望を感じさせてくれる作品になっていき、希望を持つ事ができ良かった。

 その後に続くピカソ、そして丸木位夫妻の絵画らは当然素晴らしかったですが、個人的にはフォトジャーナリスト達の作品で、東松照明さん、山端庸介さんの作品たちにとても感銘を受けた。

 東松さんの作品はこれまでこの美術館でも見た事があったのだが、山端さんの写真は知っているような?知らないような?作品が多く、かなり衝撃的だった ー 1945年8月9日、長崎に新型爆弾(この時点はまだ何の爆弾だったかは不明)が投下されたという情報は、博多を拠点としていた西部軍に当日の昼過ぎに伝わり、軍は報道部に所属していた写真家の山端庸介さん、画家の山田栄二さん、詩人の東潤さんらを長崎市内に派遣。
 彼らが原爆投下後に見た長崎の姿が今回、写真、絵画、詩と共に紹介され、その作品全てが実に生々しくもあり、これまで知らなかった事も知り得て悲しくもあり、素晴らしい展示だった。

 最後にもう1つの展示室にて先に書いた「記憶の継承」で青木野枝さんの鉄の球体、そして森淳一さんによる彫刻作品を鑑賞。

 特別展示室では「クスノキ/福山雅治×junaida」の作品も鑑賞。長崎には爆心地近くに80年前に被爆したクスノキ(山王神社の大クス)があり、以前このクスノキをテーマに福山さんが曲にしたのだが、今回はその曲に合わせたアニメーションをjunaidaさんが制作し、原画と共に展示されていました。

 このアニメーションが素晴らしく何回も観てしまった(現在、福山雅治さんのOfficial Youtubeサイトでこの動画が観られるようなので興味ある方は観てみてください)。

  11時2分に止まっていた時計が最後のフィナーレで動き出すシーンなんかは感涙ものでした。

 特別展示も含め、どれも素晴らしい展示でした。

 長崎で生まれ、長崎で育った私ですら今回の展示で新しく知った事や初めて見た被爆直後の長崎の風景もありました。という事は当然ながら、長崎以外に住んでいる人には知られていない事がまだまだ多くあるのだなぁとも思ったりで、こんな素晴らしい企画展示は、ぜひ長崎だけでなく多くの場所で巡回展を開催してもらえるようになるといいな、と思ったそんな展示でした(現実問題として色々と難しい事もあるのかと思いますが)。

 そして外に出ると海と稲佐山の向こうに沈む夕陽、この日も長崎らしい美しい景色が目の前に広がっていました。

  今日も平和であることに感謝。