遠藤周作未発表の戯曲 - 「善人」を読む

 日ごろ読む本を選ぶ基準は人それぞれかと思うが私の場合は、大体において好きな作家を基準に選ぶことが多い。映画もそうだ。好きな監督の作品を片っ端から観て行く。たまに友達に薦められてその作品が面白かった場合、今度はその監督の作品を観て行く、と言った具合に。

 そして、その好きな作家が今現在、存命であるならば沢山読んでもこの先またエッセイなり、短編なりが出るのでいいかなと思うのだが、残念ながら亡くなってしまった作家となると作品数が限られているので、沢山作品を読み進めるにつれ、この作家の作品はもうあと数冊しかない・・・とちょっとばかり読むのを躊躇したりするものだ。

 そんな折、遠藤周作氏没後の25年にあたる2021年12月に遠藤周作文学館で未発表の戯曲3本が発見されたというニュースが飛び込んできた。遺された日記などから、いずれも1970年代後半の作品らしい。

 遠藤周作は私の好きな作家の1人である。そして、こちらも前述したように彼が出している本は今現在、殆ど読んでしまっていた。

 そんな訳でこのニュースを聞いた時は、これら3本の戯曲がいつ本として世に出るのだろう、出た際はまたニュースか何かで知るだろうと思っていたところ、その後のフォローが甘かったせいか、これらが1冊の本にまとまって世の中に出ていたという事をすっかり逃していたようだ。


 今回の長崎帰省で、私のお気に入りの本屋を訪れた際に、「長崎に関する本コーナー」でこの1冊 - 「善人たち」を知る事になり、そう言えば、という事で早速手に取ってみた。

 亡くなってしまった作家の新しい作品(厳密に言うとこれまでの小説の戯曲化)にまた触れらるなんて、喜びもひとしおである。

  
 これまでの彼の作品同様「愛とは、生きることとは、宗教とは」などと言ったような事を感じさせてくれる3作品、どれも素晴らしかった。特に最後に掲載されていた「わたしが・棄て」は、小説版よりもコンパクトにまとまっているという事もあり、とても素晴らしかったように思う。

 本の中で、台詞とは別に場面設定のト書きがあり「渋谷駅の・・・」 <・・・擬音だけでホームを表して頂ければ有難いです>なんて記載もあり、彼が実際の舞台を想像しながらこの戯曲を書き上げていったのだなぁと想像されてそんなところを読んでいて楽しい一節である。

 そして、ぜひ、この作品をいつか実際に舞台で観劇したいものである。

 
 「わたしが・棄て」の話の中にも出てくる新宿老舗のバー「どん底」。久々に行きたいなと思っていた折、先日友達と新宿に出掛ける機会があったので、行って来ました。

 ここで暫し、文学気分に浸って来ました。なんて。

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