2年振りの北海道、今回は未踏の地、道東を目指す。まずは羽田発、女満別空港行きの飛行機に乗り込み約1時間45分の旅。旅のお供の本も前回の礼文島の旅に引き続き北海道出身の作家・河﨑秋子さんの本、「ともぐい」で。この本、なかなか強烈だったがとにかく面白かった。
台風9号が関東に近づきつつという事もあり、出発がちょっとばかり心配されたが、無事離陸&着陸。女満別空港は北見市の最寄空港ということもあり、大きなカーリングストーンのオブジェも。こういうのを見ると女満別にやって来たのだなぁとしみじみと。
今日はまずは網走を見て斜里駅周辺まで行く予定でバスで行けそうなのだが、そこから先、知床に行くのには車が良さそうだ。しかし斜里駅周辺にはレンタカーを借りるところが無さそうでもあったので結局、女満別空港でレンタカーを借りることにした。
北海道は台風の影響も全くなく快晴。かなり暑い!そして車で10分ほど網走方面に走っていると遠くにカラマツが数本ほど並ぶ北海道らしい景色を発見。偶然見つけた場所でありラッキーだ。早速車を停め、風景を堪能する。
空港から約30分ほど走り、博物館 網走監獄に到着。網走と聞くとどうしても網走番外地、そして監獄のイメージ。
ここでは博物館内に移築・復元された旧網走刑務所の建物を見学できるのだが、こういうものを残しているところが素晴らしい。長崎にも諫早に長崎刑務所なるものがあったのが、取り壊されて今はイオンモールになっている。。
私はその長崎刑務所跡地がほぼ取り壊された後、ほんの少しだけ残り廃墟になった状態で見に行った事があるのだが、現在のイオンモールになっている写真をネットで見て、昔の様子とギャップがあり過ぎてかなり衝撃を受けた。
まずは入り口の鏡橋(我が身を見つめ自ら襟を正すという意味も込められて付けられた名前だそう)を渡り、入館受付でチケット(1,500円)を購入するのだが、チケット売り場の前に監獄食堂なるものがあり、こちらで先ずは食事を摂ることに。
こちらでは現在の網走刑務所で収容者が食べている食事を再現し、「体験監獄食」として提供しているらしいのだが、とても美味しい食事でびっくり。
お腹も満たされ早速監獄巡り。敷地内はとても広く、駆け足で回っても最低60分は掛かるそうだ。
正面入り口から入り、正門や教誨堂(収容者に対して倫理的、宗教的なことを教えるところ)、独居房などを見学する。敷地内には花も沢山咲いており、まぁ博物館という事もあり、思った以上に長閑な雰囲気。
その後は、裏門を抜け(移設されているだけで実際にはもう裏門ではないのだが)、休泊所などを見て旧網走監獄舎房及び中央見張所へ。ここがやはり1番の見どころというか、放射状に広がる5棟の舎房がある造りになっており、入ってすぐの見張所から5棟全て見渡せる造りになっている。
建物内で使われているガラスなども美しく、こう言っては何だが、とても素敵な建造物だった。
そして網走監獄と言えばやはり吉村昭氏の小説「破獄」。この小説には実際のモデルがおりその名を白鳥由栄というのだが、彼がどのようにして、ここから脱獄したかなど実際の鉄格子の一部などを展示し、説明しているコーナーもあり、興味深かった。因みにこの小説もめちゃめちゃ面白いのでまだ読んだ事ない方はぜひ読んでみてください。
あとは、実際の監獄内の様子や舎房内の暖房設備についての解説などもあり、ここは見どころ沢山だった。
この後は、サロマ湖でも見て斜里まで行こうかと思っていたが、サロマ湖は斜里とは逆方向、そしてここから1時間ほども掛かるという事が判明。そしてサロマ湖から本日の宿がある斜里駅周辺までは2時間も掛かるという事で、トータル3時間後に宿に到着・・・という事を考えるとちょっと遅くなりそうなので、結局サロマ湖は諦め、直接斜里方面を目指す。
オホーツク海沿いをひたすら北東方面へ走る。途中、カラフルなマンション?を発見。色のセンスがとてもよい。
信号が全然現れず、真っ直ぐに伸びる1本道をぐんぐん走っていく。暫く走ると右手前方には斜里岳が見え始めた。勇壮な姿だ。
途中写真を撮ったりしながらと言う事もあり1時間半ほどで本日の宿に到着。部屋の窓からは遠くオホーツク海が見渡せ美しい。斜里駅周辺は思っていた以上に何もなく、がら〜んと、というか静かな佇まいだ。
駅前には何故かかなりカッコいいオジロワシのオブジェも。斜里岳をバックになかなかさまになっている。
本日の食事は車馬道さんへ。ここは遠い遠い昔、沖縄の粟国島で出会った北海道在住の方が教えてくれた熊肉を食べる事ができるお店。
まずは根室のお酒・北の勝、そして早速ヒグマの焼きを注文。熊肉は初めて食べたのだが、柔くて癖もなくとてもおいしかった。
あとは、適当に刺身なんかを見繕ってもらいどれもこれも美味しい食事とお酒でした。サービスで鰊の甘辛を出してもらったり、お会計も端数は切り捨ててのサービスだったりととてもいいお店だった。
あの時の粟国島の旅での出会いからこんなところに繋がっている事を思うとやはり人生って不思議だなぁなんて事を思いながら斜里の夜は更けてゆく。