エミール・クストリッツァにフランソワ・オゾン、そしてアキ・カウリスマキなどなど好きな監督は沢山いるのだが、大抵の監督作品は最初は友人のお勧めだったか、何かの記事を見てからの鑑賞だった為か、どれも最初に観たのはDVDばかり。これら好きな監督の好きな作品はぜひとも映画館で観て、がつんとインパクトを受けたかったと思うのだが、それは後の祭り。
それでもこれら監督の作品はその後も色んな作品を鑑賞し、この度それぞれの監督の新作を無事映画館の大きなスクリーンで観る事ができた事は何とも嬉しい事であった。
まずは、エミール・クストリッツァ監督。言わずと知れたユーゴスラビア出身の監督で、この監督のような作風は恐らく日本人には作れないではないかと思わせてくれるものばかり。育った環境や受けて来た周りの環境が本当にこれほど映画に反映されるものなのだなぁと思わせてくれるものばかり。最初に観たのは『アンダーグランド』だったと思う。その後友人の薦めで『黒猫・白猫』や『ジプシーのとき』なども鑑賞。どれも好きな作品だ。
で、今回観てきた彼の作品『ドリー・ベルを覚えているかい?』 - 新作、という訳でなく製作されたのは1981年。その後ユーゴスラビアの内戦によって著作権があやふやになったせいもあり幻の作品と言われてきたもの。
そう言った意味で彼の熟成された作品という訳でなく、逆に昔の瑞々しさに溢れた映像をこのタイミングで鑑賞できたというのはある意味僥倖だったかもしれない。
お次はフランソワ・オゾン。フランス映画は私が1番好きな映画だ。言語的に好きなのは実はスペイン語で、習得してみたいのもスペイン語なのだが、映画となるとフランス語の会話がどーいう訳だか耳に心地が良い。パリだとかモントリオールなんか旅しても「あぁフランス語っていいなぁ」とあまり感じた事はないのだが、何だろう、映画の中でのあの会話、特に皆で食事中に交わすシーンのようなものが特に好きだ。
古い映画だと『ラ・ブーム』だったり、エリック・ロメールの『緑の光線』とか。家族や友人と美味しいものを食べながらぺちゃくちゃと会話というか議論を交わす、そんな食事のシーンが私がフランス映画が好きな理由の1つだ。
さてフランソワ・オゾン監督の作品で最初に観たのは『8人の女たち』だろうか。最近の『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』 も良かったし、今回の『私がやりました』も良作で、まだまだ面白い作品を作り続けている監督の1人で次回作も楽しみだ。特に食事シーンがあった訳ではないのだが、何だろうやはりフランス語で交わされる会話なんかが秀逸でした。
さて、3人目は私が1番好きと言っても過言はない、アキ・カウリスマキ監督だ。5年前に『ル・アーブルの靴みがき』で引退宣言をしたけれど、この度『枯れ葉』で復活。彼の作品は好きなものばかりで『浮き雲』、『過去のない男』などどれも最高だ。『パラダイスの夕暮れ』のラストシーンなんかもいいね、という事でまだ観たことない方は是非、ご覧あれ。
今回の『枯れ葉』は『過去のない男』のオマージュ的という訳でもないけど、この映画が好きだったら絶対に気に入ると思う。ちょこちょこと『過去のない・・』を思い起こさせてくれるシーン満載で、またジャームッシュの映画のシーンがあったりと映画愛をふんだんに感じられる作品でした。