夏は夕暮れ、いとおかし - 太原、平遥・中国 2005

 2005年7月6日、12時31分 青島発の列車に乗り山西省の省都・太原へ。山西省は2003年に雲崗石窟で有名な大同を訪れて以来である。あの頃は雪がちらつき氷点下の気温でとても寒かったが、今回は夏真っ盛り、気温もぐんぐん上がって30度近くある。

 18時間の長旅の末、翌朝6時15分に到着。列車内では同じコンパートメント内の親子2人組みの方々とも仲良くなった。相変わらず中国の列車の旅はいいものである。

 太原は思ったよりも大きな町で宿探しに苦戦したが、数宿回り、手頃な値段と場所の宿を確保 - 窓の外から見下ろすと太原の日常生活なんかが垣間見える、なかなかいい宿だ。

 太原に来た理由はここから100kmほど離れたところにある平遥を訪れる為である。

 平遥は古来より続く城郭都市で、明代の頃から残っているという大変貴重な城壁にぐるっと囲まれている古城である。ここ訪れるのにも列車を利用する事にした。列車を降りで暫く歩くと遠くに楼門が霞んで見え始め、否が応にも気分は盛り上る。

 城郭の中をぶらぶら歩く - どことなく昨年訪れた陽朔を思わせるような雰囲気がある。そう、思っていた以上にどことなく観光地化されている雰囲気なのだ。

 中国でこんな風に観光地されているところのお店は大体が黒バックに金の文字で描かれた看板が多く、街中も洒落た感じのカフェが軒を並べていたりする。 - 中国大陸ではこの当時、カフェを見かける事は皆無であったけど、このような観光地では度々こんな感じの光景を目にする事があった。 - そう、中国古来の様式に今風のエッセンスをプラスするときっとこんな感じの古さもありそして新しさもある、正にそんな両方の雰囲気を携えたお店になるのだ。こんな感じ、とても好きである。

 平遥は日帰りで訪れ、帰りもまた列車を利用した。 - 近距離なのか、売ってくれたチケットは所謂”座無”(自由席)であったが、車内はそれ程混んでおらず、無事座って帰る事ができた。

 
 それにしてもこの時期の内陸部は大変暑く、日中は放水車が水を撒きに来たり、子供たちは公園の噴水の回りで遊んだりという毎日だった。中国ではよく見かける中国将棋の巨大版なんかも目にする事ができ、みなそれぞれの時間を楽しんでいたようだ。

 夕暮れ時、ちょっとばかり涼しくなった街中、噴水の前で憩いながら語り合ったりしている風景は、何気ない日常だけど、あぁ正にこれぞ中国の風景だなぁと思わずにはいられない、そんな光景であった。